以前、当院院長が大会救護で脱臼整復した選手のその後の経過です。
おさらいすると、S選手は、ブラジリアン柔術の試合中、ケガで肘関節を脱臼しました。しかも、通常肘が後ろに外れる後方脱臼ではなく、外側に外れる外側脱臼でした。この脱臼は稀で徒手整復(麻酔などを使わずその場で整復する事)を諦める先生も多い症例です。
実際の写真です。
この角度だと分かりずらいかもしれませんが、専門的になりますが、上腕骨滑車の形がわかるほど外側に橈骨と尺骨がずれているのがわかります。画面では陰になっていますが、肘頭が外側上顆の下に潜り込みながら突き抜けています。
整復に入ります。助手が上腕骨を抑えます。この時は、医大生の選手がいたので助手を頼みました。牽引し、最初に橈骨を整復して、この後は、肘頭把持法に変えて、わざと尺骨を後方脱臼の位置に脱臼させます(元々脱臼しているので脱臼する位置を変えただけす)、そこからは、後方脱臼の整復で整復完了です。
その後、念のため整形外科にて剥離骨折などが無いかレントゲンを撮ってもらい、骨折が無い事を確認。ギプス固定で安静となりました。
しかし、回復の早いS選手は、2週間でギプスを外し、3週間目には練習を再開していました。関節可動域は、まだ100%でないものの素晴らしい回復力です。
可動域回復のリハビリを当院でしたいところですが、S選手はいわき市在住の為地元での医療機関でのさらなる回復を期待します。
このように、処置が遅れ手術となるのとその場で整復するのではその後の回復などに大きな差が出てきます。
7月も仙台にてブラジリアン柔術の救護依頼を頂いておりますので一層気合いを入れていきます。